高級マニュファクチュール『ジャガールクルト』のメモボックスです。
1960年代のモデルで、メモボックス専用のハーフローター式自動巻きの最終型、『Cal.825』を搭載しています。
『Cal.825』は初出1959年頃で、Cal.815にカレンダー表示を追加したメモボックス専用ムーブメントです。
ハーフローター式ですので、ローターがバンパーに当たる際に『コツン』という独特の感触があります。
特徴的なアラーム機能は、ハンマーが左右に動き、ケースまたは裏蓋に立てられたピンを叩くことにより、『ジージー』という音を発します。
この時、ローターがピンに接触しないよう、ローターの根本には曲線状の穴があけられているのがムーブメント外観の特徴です。
ケースの材質はステンレススチールで、リング付きのスクリューバック仕様です。
主ゼンマイ用、アラームゼンマイ用の二つのリューズが付く、特徴的な外観を持ちます。
2時の位置にアラーム専用のリューズがあり、押し込んだ位置でアラーム専用のゼンマイの巻き上げができます。
リューズを一段引き出して左に回転させると、文字盤内側の回転ディスクが左に回り、アラームの時刻合わせができます。
△印を設定したい時間の位置に合わせて、リューズを押し込めばアラームセット完了です。
これはルクルトだけが採用している機構で、他のメーカーはリューズを引き出した時にアラームがセットされた状態になりますが、リューズが何かのはずみで戻ってしまうとアラームが作動しないため気を遣います。
一方、ルクルトの方式はリューズ押し込み状態でアラームセットですので、わかりやすく扱いやすいです。
こちらは当店でオーバーホールと外装仕上げ済みで、すぐにご使用頂けます。
日差は平置きで+18秒で、精度良好です。
使用環境によって誤差が生じますので、参考値としてお考えください。
文字盤は古くにリダンされたもので、経年の焼け・汚れがあります。
リューズは2つともJLロゴ入りの純正です。
年代物の機械式アラーム付き腕時計は、頻繁な使用で部品の劣化を招く場合がありますので、取扱いはやさしく丁寧にお願いいたします。
半世紀前のモデルですので、非防水でお使いください。